機能化糖鎖のパイオニア
株式会社ネーテック

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再構成多糖G-CPSの関連情報

2016-06-13

G-CPSで修飾された表面での細胞培養

  ポリスチレン誘導体であるG-CPSは、ガラスやプラスティックなどの基材に容易に吸着します。G-CPSで処理されたは基材表面は、吸着したG-CPSに組み込まれた糖鎖が高密度で覆っています。G-CPSによる糖修飾によって、疏水的なプラスティック表面が親水性に逆転します。

「細胞外マトリックスのモデル」
  コラーゲンとHCPSのダブルコートディッシュにFGFやVEGFを固定化すると、培地中にそれらを添加したのと同程度の細胞増殖を誘導します。培地に他のGFやサイトカインを添加すると、接着面と培地接触面から異なる刺激与えることができます(J Biomed Mater Res. 2001:56(4);536-544) 。

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「レセプターを媒介した細胞接着・培養」
  ガラクトースG-コートは、細胞表面にレクチンを持つ細胞、例えばアシアロ糖たんぱく質レセプターを有する哺乳類の肝実質細胞(Artificial Organs. 33(6):419–424)や、アシアロGM2などの特定の糖鎖構造と結合するCD161を有するNK細胞などを、優先的に接着させることに寄与します。ECL/ECA (VECTOR LABORATORIES, INC.) はリンパ球を優先的に結合させるβガラクトース特異的レクチンで、ヒトNK細胞をネガティブセレクションするために使用されます。NK細胞の濃縮にガラクトース修飾ディッシュを用いることには意義があると考えられます。LinkIconレクチンの基本的性能

「セルサイクルのコントロール」

  グラフはフローサイトメトリーによるセルサイクルの測定結果ですが、ガラクトース系のG-CPSコーティングは、培養細胞の脱分化を抑制する傾向があります。

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医療機器への用途展開

糖鎖誘導スチレンである再構成多糖は共有結合による基材修飾が可能です。

「HCPSの例」

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HCPSを固相重合されたビーズや不織布などを充填したモジュールによる体外循環

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血中の過剰なサイトカインや低密度リポタンパク質などの除去や検査が可能です。


レクチン変換-2.jpg体外循環による血液浄化

高LDL血症
潰瘍性大腸炎 (IBD)
高サイトカイン血症

レクチン変換-2.jpgヘパリン結合性物質の検査


炎症性腸疾患:IBD

近年、潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis; UC)患者は、年間約4,000人という高い増加傾向を示しており、現在の患者数は10万人弱と考えられています。
UCは、クローン病とともに炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease; IBD)と総称されます。
IBDは、複合的な要因で生じる免疫異常によって発症する、慢性・再燃性の腸炎です。
ステロイド剤や白血球除去療法CAP (Cytapheresis)などによって、過剰な免疫反応や炎症を抑制することが、IBDの治療に繋がります。
ステロイドで改善が見られない場合、顆粒球を対象としたGCAPが積極的に行われています。
CAP療法には、セルロースアセテートビーズを用いて顆粒球・単球を選択的に吸着して除去するGCAPと、ポリエステルの不織布を用いて顆粒球・単球・リンパ球を除去する白血球除去療法(LCAP)があります。
これらの治療法により、IBD促進性のサイトカイン(TNF、IL-1β、IL-6、IL-12、IL-8、IL-4、IFN-γ)を減少させ、抑制性サイトカイン(IL-10、TGFβ、IL-1ra、IL-13)と抑制性ケミカルメディエーター(PGE2、PGJ2)を上昇させることが知られています。
HCPSの共有結合によってへパリナイズされた吸着材は、サイトカイン類の血中濃度を下げてIBDの症状を緩和させることが期待できます。
欧州ではGCAPがIBDだけでなく、関節リウマチ、ベーチェット病、全身性エリテマトーデスに対する治療法として承認されている他、ANCA関連血管炎、重症アルコール性肝炎に対する有効性も報告されています。


高サイトカイン血症

近年敗血症は、感染によって引き起こされた全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome)と定義されます。
その発症には、主に免疫担当細胞から過剰に産生されたサイトカインが深く関与していることが広く認められています。
特に、重症敗血症や敗血症性ショックにおいては、炎症性サイトカインが血中で高値となる状態(高サイトカイン血症)が持続することにより、ショックや呼吸障害、腎傷害、DIC (disseminated intravascular coagulation) などを引き起こし、致命的な多臓器不全へ進展することが明らかになっています。
炎症性サイトカインが多臓器障害の重症度と密接な関係にあると考えられ、救命率の向上のためサイトカイン類を吸着しやすいフィルタを用いた持続的なサイトカイン除去療法が試みられています。
このような持続的血液濾過透析(CHDF)には、サイトカイン類を非特異的に吸着しやすいポリメチルメタクリレート膜が用いられていて、多臓器障害との相関が高いサイトカインであるIL-6の 血中濃度の有意な低下やショックからの早期離脱が認められています。
HCPSでへパリナイズされた吸着材は、特異的かつ高効率でサイトカイン類を吸着叙・除去することが期待できます。










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