希少細胞の精密分離:レクチン法
血液中の希少細胞の医療ニーズ 「遺伝子・染色体の検査や移植治療」
血液中には検査や医療に寄与する希少な細胞分画が存在しています。
分離対象の細胞 | 用 途 |
妊婦の末梢血に混入した胎児赤芽球 | 胎児の先天異常に係わる遺伝子・染色体の出生前検査 |
腫瘍組織から逸脱した転移性腫瘍細胞 | 抗がん剤の薬効の確認や再発の指標など |
単独でがん細胞を攻撃するNK細胞 | 体外で濃縮して活性化させて血中に戻す免疫細胞療法 |
骨髄液や臍帯血中の造血幹細胞 | ドナーのリンパ球を除去して拒絶反応を軽減 |
“ネーテックの開発目標”
抗体で分離できない希少細胞をレクチンで精密分離する
レクチンを用いた細胞分離の原理
糖鎖発現が異なる細胞を糖結合性タンパク質“レクチン”で分離する方法。
糖との結合部位を4つ持っているレクチンが、糖で修飾された基材表面に細胞を接着させます。
ネーテックが糖修飾された基材を提供します。
細胞の種類や成熟度によって細胞の糖鎖発現が異なります。
糖に対する結合性が異なるレクチンを選択することによって多彩な細胞分離が可能となります。
TRANSFUSION 2008;48:561-566.
分離回収法の設計
ネガティブセレクションの例
糖鎖発現が多い白血球を排除して糖鎖発現の少ない造血幹細胞を分離・回収する場合、
- レクチン濃度を上げて白血球を糖修飾基材に優先的に結合させ、造血幹細胞を非接着細胞として回収します。
ポジティブセレクションの例
糖鎖発現が赤血球よりも低い白血球を排除して赤血球系細胞を分離・回収する場合、
- レクチン濃度を下げて赤血球系細胞だけを糖修飾基材に接着させて、白血球を非接着細胞として選択的に辞去します。
レクチンによる選択的細胞接着の模式図
ネーテックのG-コートによる糖修飾は、三次元構造を有する再構成糖鎖でガラスやプラスティック
iii 製の基材をコーティングすることによって達成されます。
レクチンの糖結合特性に対応したG-コートが選べます。
レクチンには実用的な細胞分離が期待できます。
抗体には一つの抗原結合部位しかないが、レクチンは複数の糖結合部位を持っています。
The Journal of Biological Chemistry 1976; 253(10):3466-3476.
抗体に比べレクチンは安価です。
G-Coatのために用意された再構成多糖類の一覧
”再構成多糖類は、オリゴ糖をビニル高分子として高分子化したネオグリコノイド”
- ネオグリコノイドG-CPS (Glucide-carrying polystyrene)は、天然の糖鎖を有する吸着性の高分子材料です。
- ガラスや各種樹脂製品にコーティングできます。